テニスはバランスが大事

 テニススクールでは初心者はまず、簡単なボールを球出ししてもらい、それを打ち返す練習をする。ここでハードヒットをしてホームランを打てば、大抵コーチはもっと慎重に打つ様に注意する。要するにミスをしない様指導されるのだ。スクールの方針はまず、緩いボールを安定的に入れられる様にし、その後、少しずつ強い球を打てる様にする事だ。
 一方、テニス漫画などでよく言われていることが、とにかく全力で打つ事だ。うまくなれば自然にミスは減る。従って、ミスを怖がる様な練習は不要だという考えだ。
 これはどちらが正しいのだろう?実は両方とも間違いだ。ミスを恐れて緩いボールしか打たなければ、一生緩いボールしか打てない。一方、ミスを考えずに馬鹿打ちをしていれば、一生コントロールは付かない。これが現実である。
 では、どうすれば良いのか?ここで重要なのがバランス感覚だ。ハードヒットをしていてミスが多い場合は、スピンの量を増やして安全なボールを打つ。逆に調子が良いときはリスクをとってハードヒットをする。こうした微調整を絶えず行う事が最も上達する方法なのだ。こうしたバランス感覚はなかなか身に付かないものだ。だから、テニスが上達する者は少ないのだ。
 最近、アメリカのテニスが弱くなっているのもこのバランス感覚が悪くなっているためだ。アメリカのコーチは攻撃ばかりを教え、守備を教えない。従って、攻守のバランスが悪い選手ばかりだ。従って、この感覚に優れたヨーロッパの選手に勝てないのだ。仏教では中道こそ仏の道だと説く。これは両極端は良くないという思想だ。要するにこれはバランスを取れという事だ。世の中のほとんどの事がバランスによって成り立っている。テニスも例外ではないのだ。
 こうしたバランスを取るためには優れた調整力が必要だ。例えば、スピンの量を調節したり、ポジションを調節したり、左右の打ち分けをしたりといった能力だ。これは日頃から訓練しなければ上達はしない。全力でハードヒットを繰り返せば自然に習得できる訳ではないのだ。あらゆる能力は練習によってのみ獲得できる。練習しない能力が突然開花するのは漫画の中だけの話なのだ。

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