高校生特有の技術

 日本のスポーツには高校生特有の技術が存在する。これは、将来プロになっても通用しない技術のため、海外では教えないのだが、日本では、とりあえず今勝てば良いという考えで導入される。要するに日本の指導者は自分の事しか考えていないわけだ。将来、生徒が活躍しても、今の自分の業績にはならない。大事なのは今勝つ事なのだ。
 具体的に技術の例を挙げると、野球ではダウンスウィング、サッカーではパスサッカー、テニスでは過剰に体の回転を使用したフォームなどがある。こうした技術は他のスポーツにも存在する。そして、こうした技術のためにジュニアでは有望に見えるが、プロで使う技術はたいした事がないため、将来、伸び悩むのだ。
 では、ダウンスウィングはなぜ、高校では有効なのだろうか?これはボールが硬く、ダウンスウィングで容易にアンダースピンが掛かるからだ。アンダースピンが掛かったボールは距離が出る。従って、小さな力でボールを飛ばせるのだ。しかし、プロのボールは柔らかく、この打ち方ではボールが変形してファールになってしまう。したがって、プロでは全くボールが飛ばなくなる。フォームを修正するには相当な時間が掛かる。大抵は芽が出ないうちに首になるのだ。
 では、パスサッカーが有効なのはなぜだろう?これは高校レベルでは個人技が未熟だからだ。従って、地味にパスをつなぐのが最も確実な攻撃になる。相手はパスカットもできないし、効果的なカウンターもできない。従って、確実にシュートチャンスが訪れるのだ。だが、この方法では相手が引いて守った場合、プロでは全く得点できない事がすでに露呈している。それでも日本のプロはこの戦術をやめない。高校生のまま進歩していないのだ。
 テニスにおける過剰な体の回転とは何を意味するのか?これは小さな体でボールパワーを上げるためだ。この時期は相手も体が小さいのでボールスピードがない。従って、体をフルに使ってフルスウィングするだけの時間的余裕がある。そして、フルスウィングすれば、フットワークの悪いこの時期はほとんどエースになる。要するに戦術はいらないわけだ。しかし、プロになれば、ボールスピードは上がり、フルスウィングする時間はなくなる。相手は自分を振り回し、十分な体勢ではボールを打てなくなる。この状況ではプレースメントを良く考えて、こちらも相手を振り回す必要がある。相手のフットワークも良いので、効率よく配球をしなければ勝てない。すなわち、戦術が非常に重要になるのだ。
 海外ではこうした現実を踏まえ、ジュニアの頃からプロの技術を教える。現在、勝てない事を責めたりしない。それより技術の向上があったかどうかを評価する。こうした長期的視点はあらゆる分野で重要だ。短期的利益は長期的には損害をもたらす。日本企業は最近は数字上は業績が良い。しかし、新たな成長分野を見付けられないでいる。明らかに今の経営者は長期的視野に欠けている。予測ができるのは天才だけだ。そして、経営はこの天才がやるべきなのだ。

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