大坂なおみの敗因

 今年のドバイ・デューティフリー・テニス選手権でWTAランキング1位の大坂なおみ選手は何とWTAランキング67位のクリステア・ムラデノヴィックにストレートで敗北した。しかし、実際の試合を見ると、大坂選手のショットは相変わらずパワーがあり、調子を崩している様には見えない。それでも負けたのは明らかにミスが多かったからだ。
 本人もリズムがつかめなかったと証言しているが、リズムがつかめなかったというのは具体的にはどういう事だろう?これはボール感覚がつかめなかったという事だ。そのためにボールコントロールを十分に行う事ができなかった。本人は練習不足が原因だと証言しているが、それは半分しか真実を言い表してはいない。リズムがつかめなかった根本原因は、オーストラリアンオープンとはコートもボールも異なったからだ。要するに彼女に必要なのはコートやボールにアジャストするための努力だったのだ。
 特に問題となったのがボールの性質だ。オーストラリアンオープンではダンロップ製のボールが使用されており、非常に品質が高かった。特にフラットボールのコントロールがしやすいのが日本のボールの特徴だ。これはボールが柔らかく、皮の厚さが均質だからだ。しかし、世界の標準ではこんな品質のボールは存在しない。したがって、こうしたボールをコントロールするにはスピンをかける事が不可欠なのだ。
 バイン氏が帯同していれば、大坂選手にもっとスピンをかける様指示しただろう。これはストロークでもサービスでも必要だ。しかし、大坂選手にはこれはネガティブな戦術に見える。スピンをかける事はボールパワーの低下を意味するからだ。彼女は強打で打ち勝つテニスがしたいのだ。したがって、もし、バイン氏がいても彼女は言う事をきかず、敗北していただろう。
 こうした事は日本人では当たり前の様だ。漫画である「Break Back」でも小学生天才プレーヤが自分のやりたいテニスができなくて、テニスを辞めている。小学生は自由にやらせても良い気がするが、プロはそうではない。プロは勝つためにテニスをする。楽しく遊んでいたら、観客が観戦料をプレゼントしてくれるわけではない。
 バイン氏は一貫して大坂選手に安定したプレーを要求してきた。どうも、大坂選手にはこれはネガティブな行為に見える様だ。しかし、このままでは彼女の復活はない。コーチが変わっても同じだ。大体、大坂選手がコーチの言う事をきかないのはみんな知っている。大物コーチは大坂選手とは組みたがらないだろう。指示をきかない選手のコーチをすれば、自分の評価を落とすだけだからだ。
 これは単に1テニスプレーヤの話ではない。多くの企業でも社員は自分が楽しい事しかしない。だから、かつてsonyの会長は「会社は遊園地ではない。」と断言していた。これが日本人の性質なのだ。そんな日本人が今後も豊かであるはずはない。現在の好調はアベノミクスのおかげであり、一時的なものだ。根本解決はなされていない。日本の貧困化は止まらないのだ。

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